■GOMI TARO ANNEX オープン記念インタビュー 〜五味太郎 GOMI TARO ANNEX を語る 【後編】
〈コンセプトは“思いつき”。 〜思いつきは人生の楽しみ〉
“思いつく”ってとっても重要なことだと思うよ。たとえば会議とかで、思いついた人、思いつかなかった人っているよね。おそらく、この差はその人の過去なんだと思う。つまり、思いついた人は、“思いつく”っていうことに至ったプロセスがあったんだと思う。たとえば夢を見るじゃない。それで何でこんな夢を見たんだろうって思うことあるよね。これは、その夢を見た人の人生を現しているんだよね。ヘンな夢を見たとしたら、これはなんかあったわけよ。

ライト(光と影のドローイング)のラフスケッチ
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着想の原点を語る五味師匠
アネックスの商品のひとつに『光と影のドローイング』っていうライトがあるけど、これは、オレが絵を見たときに、ふっとこの絵が光るといいなあと思いついたわけ。絵が光るといいなあっていう、きっと過去の経験があるんだよ。なんかこういうのいいなあ、と思った過去が。なんかこういうのいいなあと思ったりした経験があるんだよ。
たとえば、工業デザインなんかの話をすると、オーディオのマッキントッシュってあるじゃない。この表面パネルのデザインが最後まで決まらないときのエピソードがあって、もちろん中身はすごい機械なんだけど、どうしてもパネルのデザインが決まらなかったんだって。そしたら、ある男が夜、空港でネオンサインを見たときに、黒い中に光があるのを見たときに「あっ、これでやろう!」って思いついたわけ。これってただの思いつきよ。それで、真っ黒いパネルに青い光があるデザインができ上がったのさ。今でこそ当たり前のデザインなんだけど、当時としてはものすごく斬新だったと思うよ。だから思いつきって、深いことじゃないんだけれど、個人にとっては思いつくに至ったことの、人生の楽しみがあるんじゃないかと思う。
〈“思いつき”は経験値からくるゆえの作業だと思う。〉
いま、オレは色を使う仕事をしているよね。たとえば、この色とあの色を使ったらいいなと思う。これは、いま思いついたんだよ。でも、何かあったんだよ。いろんなことが。具体的に言えば絵を見ていいなと思ったとか。もう思い出せないけど。で、思いついたってことは、何か理由があったんで、「あぁ、思いついた。良かった、良かった」って言っていればいいんだよ。この“思いつき”っていう言葉には、経験値からくるゆえの作業が含まれてるって思う。よくみんな「それ、ただの思いつきだろう?」って軽んじていることがあるけど、オレは甘いねって思う。思いつきを軽んじちゃいけない。オレは軽んじない。オレ自身、なんでこんなことを思いついたんだろうって思うことがある。不思議でしょうがないんだよ。ずっと絵本を描いてて、何でこんなことを思いついたんだろうと。そして、描きながらその答えを探っているのが楽しいね。
それで『光と影のドローイング』に戻るけど、あの光が透き通っているデザインを考えると、もしかしたらマッキントッシュの話がどこかオレの中にあるのかもしれないし、また、もしかしたら、子どものころ住んでいた家の雨戸が、木の雨戸だったけれど、節が空いていて、そこから光が漏れたときに、スーッと抜けている光とか、漏れてくる光とか、そんな光が好きだったなあって…。そんな経験からくるもので絵本にならなかったものがアネックスの作品なんだと思う。

“光と影のドローイング”
まだまだ、話は尽きませんが、今後、五味太郎アネックスブログでは、五味太郎さんの話を政治や文化、その他雑多なことまで、不定期で聞いていきます。どうぞご期待を!
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