五味太郎師匠のワークショップinスリランカ 《その2》
ワークショップは、スリランカのコロンボ市内にあるセントポール・ガールズスクールで行われた。子供たちはそれぞれに自分の好きな色の絵の具を絵筆につけて、校庭にしかれた大きな紙の周りを取り囲んだ。最初は少し遠慮がちに隣の人を気にしながら、それでもこんな大きな紙にみんなで一緒に絵を描くという初体験にドキドキしながらワークショップはスタートした。

(写真)学校はこんなところ。子供たちは元気いっぱいだ。
アートの世界は、数学の世界と違って1つの答えが導き出されるわけではなく、1+1=2とならないところにオリジナリティーや個性が生まれてくる。ある子供にとっては綺麗だと思う色も、他の人にとっては違うかもしれない。そして、だから価値があるのだと五味さんは言う。
当初ドキドキしたり少し戸惑う表情を見せていた子供たちも、好きな色で好きな形を描き始めると、楽しそうな笑みがこぼれた。時間と共に、より伸びやかに自由に筆を走らせ、しばらくすると紙一面に子供たちの絵があふれていた。
紙を取り替えて、大きな紙に2回目のチャレンジ! 子供たちは、今度は最初から躊躇することなくドンドン描き始める。緊張も吹き飛んで、ただ楽しんで夢中になって描いている子供たちの絵は、1人1人が自分の好きな色で自由に好きな形を描いているにもかかわらず、描かれた全体は、調和のとれた1つの作品となって完成していた。まるでそれぞれが、自分の基調音で自分にとって一番自然な声で歌っているうちに、皆の声がいつの間にか1つのハーモニーとなり心地よいメロディーが奏でられていくような、そんな作品だった。
「世界中どの国の子供たちも共通したパワーと感性を持っている。絵を描くとそれが実によく分かるんだよね」
スリランカに来る前のミーティングで五味さんがおっしゃっていた言葉が思い出され、心の中で大きくうなずく瞬間だった。
遠方より今日のワークショップに参加されていた美術の先生が、「これまで子供たちに絵を描かせる時は、きちんと下書きをして間違えないようにと指導していました。でも今日、子供たちが自由に楽しんで描く様子を見て感動しました。是非私の町にも五味先生に来ていただきたいです」と話しかけてきた。またある先生は、ワークショップの後に、「この絵の中から一番上手な子供を表彰してあげてほしい」と言った。五味さんは、「ここにいる全員がプロフェッショナルになりたいわけではないだろうし、僕と同じようにみんな上手いから僕には評価はできません」と答えた。
評価されることに慣れると、先生や自分以外の誰か人の目を気にするようになる。しかし、表現の原点は、自らの中から湧き出でるものであってほしい。「子供はみな芸術家」といわれる所以も、その瞬間に感じたものをそのまま表現できる自由さを、周りを気にせずただ楽しむ事を子供たちが大人以上に知っているからなのだろう。「子供のためになんて思って描いた事は一度もないよ」と言う五味さんの絵本は、子供の心を十分に掴んだ上に、大人たちにより深いメッセージを投げかけている。

絵の具を選んで・・・

紙をでっかくしき・・・

五味さんの一筆でスタート!

さて、どんな絵ができるのかな?
そうして・・・

こんな絵や、あんな絵も・・・!!

とにかくい〜っぱい!

ぶらさげてみた!

完成!!
【次回へ続く!】
文・現地報告 中村里美(アジアヴォックス)
※写真の無断使用・転載等は一切お断りします。
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